路傍の月に吠える 影一つ町を行く 満ちることも知らないで 夜はすっと深くまで 気が付けば人溜まり この顔を眺めている おれの何がわかるかと 獣の振りをする 一切合切放り出したいの 生きているって 教えてほしいの 月に吠えるように 歌えば嗚呼、鮮やかに アイスピックで 地球を砕いて この悪意で 満たしてみたいの 月に吠えるように 歌えば嗚呼、 我が儘にお前の想うが儘に 青白い路傍の月 何処だろう、と人は言う 誰にも見えていないのか この醜い獣 指を差した方へ向く 顔の無いまま動く 何かがおれを見ている 波止場のあの影で 一切合切信じていないの 誰もお前に 期待していないの 月に吠えるように 歌えば嗚呼、鮮やかに 硬いペンを湖月に浸して 波に線を描いてみたいの 月に吠えるように 歌えば嗚呼、艶やかに 時間の赴くままに 皆おれを かわいそうな病人と、 そう思っている! 一切合切放り出したいの ま、まだ世界を 犯し足りないの 月に吠えるように 歌えば嗚呼、鮮やかに アイスピックで 頭蓋を砕いて 温いスープで 満たしてほしいの 月に吠えるように 歌えよ嗚呼、 喉笛の奥に住まう獣よ この世界は お前の想うが儘に 路傍の月に吠える
