「真夜中過ぎたら、 私を捕まえてみて。」 やわらかな毛布が、 羽根になった頃。 いつだってそうだよ。 誰かを嘲りながら、 一番近くで焦がれていたんだ。 カーテンを揺らす薄荷ドロップ、 分け合う三日月と発火して。 勝手に許していた銀の氷菓= 世界の全て、だと錯覚したい。 やさしさを持て余している 天使の棲む 地下室で 同じ色に瞳染めて、 眠ると泳ぎ出す魚みたいに、 いつか2人、海に流れ着くのにね。 ガーデンを濡らす薄荷ドロップ。 「訳を訊かずに もう離して。」 サテンに包んでいた銀の氷菓。 正解の術で愛を錯覚したい。 真夜中過ぎたら、 私を捕まえにきて。 朝に追いつかれないスピードで。 「別れた人達の美しさが、 刻まれている。」 幾度目の春を迎える恋。 カーテンを揺らす薄荷ドロップ、 分け合う三日月と剥がして。 勝手に許していた銀の氷菓= 世界の全て、だと錯覚したい。 最期に見た蝶の起こす風。 切り絵のように彷徨い出した。