東雲 颯々と行き過ぎてしまった あれやこれを考えていた 眠りは不時着 冴えた霜夜に身を屈め さざめく雨に耳を澄まし 夜に根を張り紡いできた糸 ほつれ絡み見上げた空はいつも鈍色 東雲 隻眼の猫が見下ろす街 鼻先をくすぐる朝東風に 白々と射す曙光 髭揺らし眼を細める 時計仕掛けの街 脈打ってる あの時の自分 探し回ってる 足止めを喰らう日々 何食わぬ顔の君 東雲 朝靄にたゆたう陽炎 踏切のリフレインに 澱みかけた瞳が景色に いつの間にか溶けて 静止していた 東雲 棺桶に半身突っ込んだまんま炙り 出したアドレナリンとかく 宙ぶらりん 退屈な雨降りの午後 肘付いて窓の外見てた虚無の追懐 飛雪千里 道は険しく 波濤万里 旅は長い 言葉をどこか遠くへ 連れて行ってしまうよな していないはずの約束を 果たしに来た 何となくずっと 捨てられなかったたくさんの手紙が 肝心なときに 出て来ない 思い出は感化の交換だった つまりは共感と共鳴の連続だった 続く線路を目でなぞり そう思った 悪い夢から覚めたのか 熱い夢など冷めたのか 完璧は求めない ただ少しでも良くあろうと思ってる 寄り道はするが 近道は無いんだ 飛雪千里 道は険しく 波濤万里 旅は長い 出し抜けのタナトス 誰しも 背負い 祈る意味 所在なく往来 明日への本懐 言葉をどこか遠くへ 連れて行ってしまうよな していないはずの約束を 果たしに来た 東雲