六月の春がいちどに花ひらくこの岬 には 秋にあじさい咲くという また来てしまった しょせん帰りゆく この旅なのに あゝまだ津軽は 吹雪です 凍え死ぬこともないな 僕の旅 竜飛崎よ どてっ腹を ぶち抜かれちゃったね 丸太でかこった 家族が躰寄せる この漁村には 寒く灯がついている やさしい 夕暮れ にぎわいうすい 船着場には あゝもう野良犬が住み着いた ドロ運びのおばさん お達者で 竜飛崎よ どてっ腹を ぶち抜かれちゃったね 海峡を越えて 鉄打つ響き渡る 室蘭の夜 赤い火の粉がふりそそぐ 道ひとつ決まらぬ 生まれついての ろくでなしには あゝ悲しみでさえも 海の汚点か 過ぎてゆくばかりだな 僕の旅 竜飛崎よ どてっ腹を ぶち抜かれちゃったね 凍え死ぬこともないな 僕の旅 竜飛崎よ どてっ腹を ぶち抜かれちゃったね