波と一緒に悶えていた 乱れぬように祈ってて このまま側に居て 時が来るまで 他人にはその頬に併せて 欲しくはないと分かった 私には何一つ留める 資格などは無いのに 止まり木と知らずに折っていた ささやかに支えてくれたのに 立ち止まりむせる香りは 花の名に近しいあなた 月並みの約束を交わした 今も一点の曇りもなしさ 知らせる術を持たず まだ手放せていない 波と一緒に悶えていて 追い付くように 被さってこの身を焼かれても 悔いは残らない 人事となじって 馬鹿にしていた自分を咎めて 恥じたから そのまま 振りかえり笑ってみせて 少し遠くの駅まで歩いた日 同じ事を互いに 思い染め合ったあの日の様に 答えを聞けない 瞼に溢れてしまうほどの 気持ちを何と呼ぶのだろう さめざめた私を灯した 愛おしい人 手放せない 同じ頃に出来た顔の傷 今も忘れず残ってるキスも まだ知らせてはいない まだ手放せていない バスに揺れて触れる袖口の 熱の行く宛てだけで救われた まだ知らせてはいない まだ手放せていない 温もりをくれた私だけの 愛おしい人よ