鬼さんこちら手招く方へ 二十四文で春をひさぐ 行きはよいよい帰りはこわい 宵闇の花柳八分咲き 立ば芍薬 居すりや牡丹 はな散る里は吉田町 果てつる底なき苦界にて 下らぬ足掻きは見せしめに 情男は匂へど散りぬるを 吊る咬め血を吐き地を這いて 突い挿す股座に鬼灯 腐りて黒と赤子堕ろし 籠女 籠女 鶴亀の滑り 手練手管と四十八手 「おしげりなまし」 籠女 籠女 後ろの鏡面 斑ら疎らに膿れた腫れたの爛れは返 り咲き 梳る御髪はらはらと… 鳥屋につく 鬼さんこちら手招く方へ 打ち萎れたる天女の様 行きはよいよい帰りはこわい かさ廻る五月雨の如し 籠女 籠女 鶴亀の滑り 手練手管と四十八手 「おしげりなまし」 籠女 籠女 蔵の中の鳥 咲くは骨身に熟れた罅ぜたの皮肉は 抉れ落つ 落魄の身は針の筵 日銭乞い啜る夜叫の晩に 待ち掛け巣食いて傍の外 宵宵 跛 偏盲兎缺 裂くは骨身の頭に来る蕾身