今夜の残業はきつかった ボロボロの体で家路につく 揺れる電車の振動が 骨を軋ませ気力を奪う 酒でしか癒せぬ傷に注ぐ酒 たとえそれが命を縮めるとしても 一杯の焼酎が古傷に染み渡り 涙が魂の汚れを洗い流す ああここは男泣き横丁 時間の止まった街 かつて男は太陽だった 荒野を切り開き町を造り 家を建てて道路を造り 鉄を溶かし船も車も造り 今日の繁栄を男たちは作った なのに今ではオッサン キモイと蔑まれ 平成の世で踏みにじられ 搾取され令和になっても 絶望しかないだから 懐かしき昭和の夢を見る 母の胸に抱かれた時代 生きる事に疲れ果てたなら いつでもこの横丁に来るといい ここは疲れた男たちのオアシス 労働者たちの最後の楽園 今夜も男たちは泣き笑い 酒を酌み交わし続ける