育ちのいい、気の優しい 西風生まれのその男 生まれながらの彷徨い人 ということは、つまり夢を信じた 目が覚めるとすぐ外に出る 桜舞う、よく晴れた朝 家の前の電柱から歩き その先の電柱で戻る 全ては判っていた事だが 三十回、往復したところで 郵便配達のバイクが来て 一通の手紙を手渡した <♪> 昼食を食べるとまた夢の中 公園のベンチに一人の老人 男に向かって話し掛けてきた 煙草はフィルターまで吸うことや 悩むことを趣味にしているとか 男の全てを知っていた そして落ち葉が風と舞ったとき 小鳥のさえずりで目を覚した <♪> おぼろ月夜の魔力に誘われ 今夜はなかなか眠りに付けない 本を読んだり酒を飲んだり ふと今朝届いた手紙を思いだし 封を開けるとそこには枯れ葉が 全ての瞬間が以前とは 違った意味を持ってるようだ この街を出るのを止めにした