化野をぬけて清滝へ向かう 祗園祭りの遠ばやしを 逃がれるように宿こつけば 心細さもつのる 渡月の橋を渡りきるまでは 降り向いちゃいけない自分の過去だけは 真顔になった君は去年 確かにこの宿にいた あー宵人の人波こまぎれて あー握りしめた 君の手を覚えてる今も 祇王の夢と祇女涙 庭に佇み夕暮れまで 悲しすぎるわ女はいつも 男の為こ生きてくなんて 結婚するよりこのままの方が 一生懸命きれるみたいと つぶやく君は僕よりずっと 大きく見えた旅の宿 あー宵人の人波こまれて あー流れてゆけ 若すぎる恋の痣よ 風の噂に聞くこともない 祗園祭りにさらわれたまま 君の写真も少し黄ばんで 僕もいくつか年老いた もっと男でいられたならば 君も女でいられたならば 恋に走れたあの年の夏 帰ることない暑い夏 あー宵人の人波のどこかを あー愛している あの人も流れているだろう あー祇園祭りの 遠ばやしが聞こえる あーあの日のまま あーあの日のまま あーあの日のまま あーあの日のまま