波の花咲く夜に ただひとり泡になりたい 差し伸べる手は要らない 誰ひとり気づかないまま ゆらりゆらり淡く続いた 道筋は月明かり 溶けるように歌うように 真っ直ぐ落ちるように 失くしたはずの声を張り上げて わたしは 何度でも唱えるの 「あなたが好きよ」 息を止めてこのまま 愛しさに溺れたいの もう二度と会えないとしても あの貝のように閉じこもった どうしても叶わないから 想いだけ連れて行くわ 仄暗い深海まで ふわりふわり昇っていった こみ上げる雫たち 踊るようにもがくように 捕らわれないように 失くしたはずの声で叫ぶ あなたの名は さざなみに攫われて 消えてゆくでしょう 物語が終わったその先も日々は 過ぎて わたしが居ても居なくても 失くしてしまうのなら初めから 要らないわ 微笑むその姿も手の温もりも あんなに望んでいた両の足が 邪魔をして もつれあうの 失くしたはずの声を 響かせたわたしは 強く願いながらも 消えてゆくでしょう “あなたが笑えるように ”“夢が叶いますように”と 隣に居られないとしても