窓のない部屋に吹く濁り風邪 行き場のない自(みず)が隅にたまる 穴のない箱に吹き抜ける風 行き場のない木が天井(そら)に打ち 折れる 黄色い空の下、あなたが林檎を食む 黒い天井の下、私は唇を噛む もう抱いて殺して、 でもあなたがいい その暖かい指で私をなぞって もう独りにしないで、 でもあなたがいい 私は黒箱のバラ 黒い息が私の死を誘(いざな)う 白い息が私の手を引く 枯れた花の代わりは見つけたかしら ただ知りたいそれだけなの お願い 神よ ああ狂わさせて もう花散ら馳せて 届かなくてもいいから せめて匂いだけ、 触れさせて貰えなくていい ただ抱いて殺して でもあなたがいい 私はガラス色の薔薇(はな)