「ありがとう」って君が言うから 「さよなら」って僕は笑う 涙とキスの在処を 今も君は知らない 「春が好き」って君が言うから 「夏が好き」って僕は茶化す 春風が花びらを散らす 「時間と距離が邪魔だね」 いつか君の言った台詞は 小説の一節みたいで 確かあれはハッピーエンドで 栞を挟んだ続きを なんて都合良くいかなくて 映写室に栞を忘れて 実は知らなかったなんて言えるほど 実は君の事 何にも知らない 何を訊いても何を強請っても 肝心な事は教えてくれない 小説に出てくるヒロインがまるで 君みたいで まるで君みたいで 運命かなって思ったんだ そんな事はない そんなはずは無い 時間と距離が邪魔だと君は言った きっと君は 全ての隔たりが邪魔だったでも 互いに知らない事がある事を知って 僕は嬉しかったんだ そう僕らには ずっとずっと 隔たりがあったんだ 隔たりはあって よかったんだ 最終列車に飛び乗って この気持ちを伝えたかった 君の残像が まだ目の前で揺れているよ 涙を拭うその代わりに ページをめくった いつか君の言った台詞は 小説の一節みたいで 確かあれはハッピーエンドで 栞を挟んだ続きを なんて都合良くいかなくて 映写室に忘れた何かは もうわかっている わかっている もうわかっている エンドロール終わらないで ハッピーエンド手を繋いで いつかみたいに笑ってみせて