目覚ましが止まっていた、 薄いブランケットの傍で。 染み込んだ光が迎えた朝、 溶け出した記憶ともう 戻らない風景の中で私は散った。 君を包み込んでいた指も、 声も全部灰になってしまったから、 もう降り出した雪に想いを 遺していこう。 "ハロー、エラ" 渺漠な世界が真っ黒になって心を 汚さないように、 はらはら薄く揺らぐ 火のようにそっと手を取った。 "ハロー、エラ" 君の好きな甘く香る紅茶は 見当たらないからさ。 花が咲いて、 芽が吹くまで待っていて欲しい。 触れた愛猫が喉を鳴らす ロマンチックな書窓の景色、 嗄れの花壇と絡まった糸、 閉じ込めた憂いは今日を繰り 返す時計みたいにふわふわ舞った。 冷めた頬の色を覆い隠す カラーフィルムに日々を委ねて、 灯りが消えていく前に固く 封蝋をして目を伏せた。 "ハロー、エラ" 生活の気配が真っ白になって言葉を 失くさないように、 彼方の星を結ぶようにそっと 記憶をなぞっていこう。 "グッバイ、エラ" 君の夢で積もる雪に身体を沈めて 笑えたなら、 腕を引いて、 緩い熱で包んで欲しい。
