木々の騒めき 息を潜めて 互いの名も知らぬままに この身を 委ね 茂みの奥の微かな木漏れ日は どこか母の温もりのよう 古人(いにしえびと)の 残した性 よ 刻まれた胸が疼いている 声よ 木霊よ 今望む 言葉を聞かせて 霧の向こうへと進んで 彷徨いあう前に せせらぎの夢 汲み取り浴びて 木の葉の船 揺らす水面 孤独に沈む 雨風たちと 変わらぬ移り気で 泥にまみれた心洗う 遠く滲んだ 追憶の中 忘れかけた想いを見つけた 声よ 木霊よ 今望む言葉を教えて 混じり合う時の流れが 私になる前に 面影を辿れば 見知るほどに戸惑う 汚れを秘めぬ川の流れに沿わせて どうか声よ 木霊よ 今望む言葉を聞かせて 霧の向こうへと進んで 彷徨いあう前に 天よ 大地よ 今歌う この歌を聴いて 混じり合う時の流れが 私になる前に 何者でもないまま この身を捧げましょう