ゆらゆらと陽炎に 好きだった古びた駅 風吹く路地曲がれば 懐かしいあの家 きらきらと陽だまりに 羽ばたく鳥たちの影 まだ若い母の手を ずっと握っていた 心は帰れる 場所を知っているのに 時間の流れは 誰にも止められない ひらひらと赤い花 手を振るように咲いている さよならも言わないで みんな消えてゆく ゆらゆらと黄昏に 虫の音響く坂道 振り返り見渡せば 空さえない街 心が帰れる 場所を忘れないなら 見えない明日を 怖れはしないけれど 瞳を閉じれば 蘇る想い出 いつまでも消えないように この目に焼き付けて ひらひらと赤い花 燃えるように咲いている 移ろいゆくすべてを ただ見つめている ただ 見つめてる