Track by橋 幸夫
上り来れども 海荒く 朧(おぼろ)に揺らぐ 蝦夷(えぞ)の島 途方に暮れて 義経は 岬の縁に 立ち尽くす 「さてどうするか 北風よ 我の運命(さだめ)を 知る者よ 魚や鳥は 軽々に この八重霧を 越えるのに」 吹きさらされて 義経は 三日三晩の 祈りにて 天(あめ)と土(つち)とに 問うたれば 白き海神(わだつみ) 降り来たる 「汝の心 切なる故に 龍馬三頭 与うなり これにて高く 天翔(あまかけ)て その大命を 果たすべし」