溺れるように声を失った人魚は 幸せを手に入れたかしら? 夜を曳いた潮に乗って魂は 海に還るというわ ここで浮かび続ける君の魂は 哀しく貧しい箱舟は さてどこへ流れ着くの? ばかね でもね 傷は感じる 君は煉獄 降る如く 何度身を投げど浮かび上がる そう雨は絶えず傷を浄めたけど 背負う荷物を消しはしない 旧くひび割れたまま打ち捨てられた 水槽の灯りに 射されて惹き 寄せられたのでしょう? 「もしも君が死を望むなら かしこみ口をお付け我は主 誰もいない海底の都で魂手繰り虚を 満たす主」 瞬くは夜の 囁くわ繭が 魂を誘い掬い上げ沈めてと 泥のように墜ちゆく 瞳のその落下の際に憧れさえ 抱くから 罪が報いに死を求めど 君はその死さえも奪われている ならばその罰を強く抱き寄せて 死へと愛の言葉を嘯けばいい 覚悟さえ決まるのならば 偶然でも慈悲でもないわ いずれここへ辿り着くことを 知っていたのだから 打ち捨てられた君を見た日から ねぇくぐもる声で それが痛み 今日 透けるように凪いだ 生きる痛み 深いでしょう 昏いでしょう 辛いでしょう 分かるわ 友を 愛しさを あり方を 全て飲み干し希う 去んぬる日の我のように 時は全て与える滿汐 が すべてを奪う引潮でもある 忘れられた我等にとって呼吸さえ 罰に等しいのだから 煮え立った海が泡立って 恋(こ)うた “終わり”を得る その望み叶えたいなら 蠢く欲望を掻き分け 跪いておねだりよ “魂”は満ちた 待ちわびた贖いの時 闇の果てへと命の灯を いざ扉は実に開かれん 進めよ 待つは楽園(エデン)か 深淵か その扉が何を迎えたとしても 人の世は寄せてまた返すのだから 少し酔い笑う我が名は美海の貴婦人 (マダマ)
