将来の夢を書きなさいって 課題のときは いつでも二番目のやつを書いて 誤魔化してきた 本当に大事なことは 心の中でじっくり育てたいから とはいえ目線に滲むこの気持ち 隠しきれない? 流石にもうバレバレかな 駆け引きとか知らないけど カーディガンの袖ちょっと伸ばして せんぱい! 一緒に帰りませんか? せんぱい! そのお菓子好きなんですね せんぱい!せんぱい! 寄り道していきませんか? せんぱい! もっと話したいです せんぱい! もっと近くいっていいですか? だってこんなに知りたいよ だけどあと10センチまだ届かない せんぱい 他人に規定されない気持ちも空想も ノートに書き殴って何度も読み 返してみる 高尚な哲学も達観した価値観も 持ち合わせていないけど せんぱい! 傘持ってないですか? せんぱい! 一緒に入っていきますか? せんぱい!せんぱい! なんか顔赤くないですか? せんぱい! 雨なかなかやみませんね せんぱい! 屋根あるとこいきませんか? なんてちょっとあからさますぎたか な だけどあと3センチまだ届かない せんぱい 髪も爪も自分のため この気持ちも全部自分のため それ以上でも以下でもなく もっと笑う顔見たくて もっと笑う声聞きたくて 今日もあなたを待ってる せんぱい! 手繋いでいいですか? せんぱい! 手のひら柔らかいですね せんぱい!せんぱい! あーしの顔何か付いてますか? せんぱい! ちょっとドキドキしますね せんぱい! なんか付き合ってるみたいですね なんて笑って話すけど 本当は泣きそうで 苦しくて痛くて 宙に浮かんじゃいそうで だけどあと1ミリメートル まだ届かない 「せーんぱい」