unpleasant melody~戸惑いの仔羊たち~

歌詞

Lovely Touch me! Doki Doki!!(Doki Doki) お昼の放送(ズキュン) この歌をかけたなら どこのクラスの生徒だって アニメが見たくなる魔法～ 「おやめなさい! その曲をかける のは!」 『いいじゃないか! 自分の好きな 曲をかけて、何が悪いんだよ!』 「給食、それは学びの園に集いし 若き者たちが己の血と肉を作る食 育の場。 その食育の場をより豊かにするた めに、あなたは自ら立ち上がった。 違うかしら?」 『ぼくは・・・ぼくは、確かに、 立候補したときは「好きな曲がか けられる」くらいにしか思ってい なかった・・・でも! J-POP好き が自分の好きな曲をかけるのと どう違うんだ!? 好きな音楽にラ ンクの高い低いなんてあるもんか! 』 「あなたの理想は素晴らしいかも 知れない。 しかし、あなたと同じ理想を持た ぬ者にそれが伝わるかしら? そのやりかたで!」 『や、やってみなけりゃ、分から ないだろ・・・? 初めて聴いて、好きになってくれ る人だっているかもしれないじゃ ないか!』 「あなたの理想ひとつで世界が変 えられると言うのなら、この悲し みの連鎖は、とっくに終わってい るはず・・・ なぜならば、わたしもかつて・・ ・」 "アニソン"(おんがく)を手に入れ "放送委員の座"(けんりょく)を 手に入れ 共感(こころ)まで 得ようとしたあなたは 一体何を手に入れたの 気まずい空気(アトモスフィア)? ああ 萌え盛るメロディ 戸惑いの仔羊たちは unpleasant melody 気づかぬようなそぶりで 『じゃあ、萌えソングじゃなくて、 こっちならいいだろ!? J-POPっ ぽいし』 「J-POPっぽい・・・ランクに高 い低いはないつもりでも、やはり あなたも、J-POPを意識している のね・・・」 『あ、あいつらに合わせただけだ! 』 「あなたは合わせたつもりでも、 まだまだどう聴いてもアニメの曲 ね。 あなたの言う“合わせた”は当てに ならない」 『アニメじゃなくて、これはゲー ムの曲だよ!』 「どうでもいい・・・どうでもい いわ! そのこだわりが あなたを醜 くさせているの! 気づいて!」 『う!』 「覚えておいて。 これは古くからの言い伝えよ。 『音楽には2種類ある。 給食中にかけていい音楽と、かけ てはいけない音楽・・・』」 はしゃぎ回る道化よ 凍りつく隠者よ 楽園は色めき立ち始める 熱い想いも空回れば 悲しき"無関心" (ケアレス・アティテュード) ああ 魂のメロディ 己の身の程を知らぬ unpleasant melody "権力者"(ヒエラルク)に 民は冷ややか 「放送室という名の狭き砦に守ら れたあなたは、まだ、犯した罪の 重さに気づいていない。 あなたは選曲の自由を与えられる と同時に、それによって自らが巻 き起こす一切のことを受け入れる 覚悟を求められている。 あなた一人の個人的な想いが 世界に響き渡ることの重みを、 いずれ知ることになるでしょう」 「君かい? 今日の放送当番は」 『そうだけど? あ、あの曲知って た? いいよね! あのサビの転調が さ・・・』 「やめてくれないかな。」 『えっ?』 「クラスの連中がさ、『お前がリ クエストしたんだろ?』っていう 目でボクを見るんだ」 『そ、それはきっと被害妄想だよ ・・・』 「しかも、ボクはあんな萌えアニ メなんて見てないのに! オタクがみんな同じアニメを見て るなんて発想、幼稚だと思わない かい」 『萌えアニメって・・・(咳払い) コホン (落ち着いたフリをして)た、たぶ ん、クラスメートから見たら一緒 だと思うよ? そのこだわりが、君を醜くさせて ・・・』 「君は何をしたかったんだ? わざと変な曲をかけて、反応を楽 しむ愉快犯でもなさそうだ」 『えーっと、ただ、好きな曲だか ら、聴きたかっただけで・・・』 「聴きたかっただけなら一人で聴 けばいい。 君は聴かせたかったんだ。 それで、全く知らない人が興味を 持ってくれるとでも思ったのかい? 」 『さ・・・最初はそう思ってたけ ど、やっぱそんなことありえない から、知ってる人に気づいてもら えたらって思って』 「友達探し?」 『そう、そうだ! 友達探しだよ!』 「じゃあ、失敗だね。 ボクはクラスで孤独で不快な思い をした。その原因は君だ」 『そんな・・・』 「ボクたち、出会う場所が違って いれば、友達になれたかも知れな いね・・・さようなら」 『そんなのイヤだよ! あ、待って! 待ってよーーー!』 unpleasant melody 若き日は互いに 愛した音が世界のすべて unpleasant melody いつか争いのない未来へ 自由な歌の響く未来へ 時を忘れ、踊り狂うために流され る、延々と繰り返される退屈な音楽 現実を離れ、ひととき夢の世界へ いざなう、大袈裟で滑稽な音楽 人の生活に入り込み、安心感を与 える、無難で目立たない音楽 作品のカラーを短い時間の中に詰 め込んだ、派手で恥ずかしい音楽 それぞれに意味があり、互いに影 響しあい、生き続けている もしあなたが、アニメのオープニ ングはアニメに相応しい曲である べきと思うならば、 あなたは給食の時間に、給食に相 応しい曲をかけなさい すべての、 戸惑いの仔羊たちのために。