引き止める理由が欲しいだけだった ただそれだけなんだ 「振り回されるのはもうごめんだ」 無作為に流れる君の声は どこか切なくて泣いてた気がした 与えられた僕はいつの間にか 見ないうちに錆び付いてしまった 透明な糸も 解けてしまいそうだ 心が宿ったら喧嘩も出来るのに どうして何も言わないで 「ただいま」の言葉だって 忘れ去ってしまったの 君は走っていった 僕の事なんか置いてって 夜の寂しさを紛らわせた あの時間さえも置き去りにしていく 目に見えない糸を繋いでいたんだ 引き止める理由が欲しいだけだった ただそれだけなんだ 「君は一体何をしてるの」 呟く口すらい癖に ドアの向こう側の 世界を僕は知らない 1人になりたいって言いながら 僕を抱いていた時のこと 言葉の裏側に 疲れてしまったんだろう 君は走っていった 僕の事なんか置いてって 色褪せていた だけど確かに 変わらない景色から抜け 出していくように 目に見えない糸を繋いでいたんだ 引き止める理由が欲しいだけだった ただそれだけなんだ 探したいでも探せない 僕に意思さえあれば 離せない想いも繋ぎ 止めておけたのに 枯らす声すら出ないから ただ待っている 温もりが冷める前に 嗚呼 音のない世界で 明かりすら灯せない世界で ただ君を待つ 僕1人じゃ何も出来ないから 想いは現実(カタチ)に 君の声が鳴り響いた また明日を迎えられるかな 君が走ってきた 僕の事を抱き抱えて 夜の寂しさを紛らわせた あの時間さえも愛しく思えたんだ 目に見えない糸はここにまだあった 僕をポケットにしまい込んで ドアを開けた ただそれだけなんだ