不完全な彼の物語は 不完全なまま終ろうとした。 気付いてしまった。 僕の中で僕を叩くのは 僕でしかなくて。 誰かのせいにするのは、 一人じゃ心細いから。 不安を象って、 壊してしまえたら良かったな。 形が無いから、 僕には壊せなかったの。 忘れてしまった、帰り方を。 行き先も告げて無いから、 迎えも来ないな。 誰のせいにも出来なくなったのは、 あなたの事さえ思い出せないから。 苦しいのは最初のうちだけ。 本当は、 空気が無くても生きてゆける。 足りないものが 確かにあったはずなのに、 この世界もこの僕も まだ壊れないや。 不完全な彼の物語は 小さな世界の中に閉じ籠る。 不完全な彼の物語は それでも始まりから離れてゆく。