宵闇の手探りの中でこそ 仄かに匂う柊の花 見せかけの棘にそっと隠した その麗しくゆかしき花 その花の名前を呟くとき 美しさとは何かを思う 誰も居ない末の秋に咲いて 冬とすれ違いに行く花 愚かしい過ちの数々を 一つ一つ胸に並べている あなたはそれでもこんな私を 許してくれるだろうか 終列車が鉄橋を渡る音 秋風の気紛れなカデンツァ 明日は木枯らしが吹くらしいと 遠い窓の灯りが言う 辛い夜を過ごすあなたに いつか本当のさいわいを 届けることが出来ますように 私に許されますように 宵闇の手探りの中でこそ 仄かに匂う柊の花