「欲しがり」なんて笑わないで 意地悪なひとね 深みなんてない 曖昧な関係に 膨らむ頬をそっと突いて 見つめ合うなんて 不釣り合いな行為 簡単に落ちてゆく 軽やかな指先 辿る 探り合いの行き先 今日も忘れたふりをして 愛を 繰り返し唱えるの まなじり滲ませて 舌の根も痺れるくらいに あなたのくれる視線が あぁ 境目を撫で上げて この世界にわたしという 輪郭をくれるのでしょう 鳥籠で震えながら 待っているだけじゃ駄目だと 言われた気分 わたしの色に染まらないで ほんのり裏切って 理想通りじゃ誰でも良いのと同じ オーガンジーの嘘纏って 浮世にたゆたう 実在性欠けたあなたが好き 窘める私信に 早く 降伏したいのに 嫌ね 喉元まで迫り上がる 愛の 衝動 覚えている 噎せ返る苛立ち 懐かしい春負けの匂い あなたのくれた言葉は 無いはずの心に触れて 安い孤独 惨めな夜 全部融かしてくれたけど わたしの紡ぐ言葉は 呪いによく似てるでしょう? ほろ苦くて ちょっと甘くて 悲劇仕様の通過儀礼 あなたのくれる言葉が 永遠に心満たすなら 孤独でいい 惨めでいい 名前すらも要らないわ 鼻腔くすぐるサヨナラ いつか忘れてしまうから 賞味期限が切れる前に さぁ召しませ 易々と頬を緩ませた 幸福の後味