「どこかで聞いたこと のあるこの唄 君は覚えてるかい?」 死にかけの私に近づいて そう問いかける科学者の男 抱えてる赤い猫の死骸 私の前に放り投げた よく見ればそれは布と鉄で 作られたぬいぐるみ 「これから君は生まれ変わる 今日が君のRe_birthdayだ」 火傷だらけの腕で彼が触れた 『私だったもの』 暗闇の空から差し込む光 それを見て私は思い出す そう これはかつてこんな唄だった 満月の夜に始まる実験 時代が変われば唄もまた変わる 私の心は変わらない 身体は赤い猫になった 死ぬことはもう無くなったけど もう人間に戻ることもない 二つを合わせて 一つに変えたとして 二倍にはなれない 私はこれから何のため 生きればいいのだろう いなくなる前に彼は言った 「もうここには戻らない 君は君の実験を続けなさい」 南空舞い散る七つの光 それを見て私は思い出す そう 全てを奪った あの女に報復を! 三日月の夜に始まる復讐 身体が変われば目的も変わる あの人が私を創ったように 今度は私が人を「悪」に変える どこかで聞いたことのあるこの唄 いずれはまた違う唄になるだろう ――ぜんまい仕掛けの子守唄