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親父の一番長い日 (3333 Concert ver.)

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6
  • 2018.06.20
  • 11:30
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歌詞

おばあちゃんは夕餉の 片付けを終えた時 弟は二階のゆりかごの中で 僕と親父は街頭テレビの カラテ・チョップが 白熱した頃に妹の誕生を知った それから親父は占いの本と辞書と 首っぴきで 実に一週間もかけて 娘のために つまりはきわめて何事もない ありふれた名前を見つけ出した お七夜 宮参り 夫婦は自画自賛 可愛いい娘だと はしゃぎ廻るけれど 僕にはひいき目に見ても しわくちゃの失敗作品 やがて彼女を訪れる 不幸に胸を痛めた … 兄貴として … 妹の生まれた頃の我が家は お世辞にも豊かな状態でなかったが 暗闇の中で何かをきっかけに 灯りが見えることがある そんな出来事だったろう 親思う心に勝る親心とやら そんな訳で妹は ほんのかけらも みじめな思いをせずに育てられた ただ顔が親父に似たことを除けば 七五三 新入学 夫婦は狂気乱舞 赤いランドセル背負ってか 背負われてか 学校への坂道を 足元ふらふら下りてゆく 一枚のスナップが 今も胸に残ってる … 兄貴として … 我が家の血筋か 妹も足だけは速くて 学級対抗のリレーの花形で もっとも親父の応援のすごさに 相手が気おくれをして 随分助けられてはいたが これも我が家の血筋か かなりの演技派で 学芸会でもちゃんと役をもらった 親父の喜びは言うまでもない たとえその役が一寸法師の 赤鬼の役であったにしても 妹 才気煥発 夫婦は無我夢中 反抗期を過ぎて お赤飯を炊いて 中学に入れば 多少 女らしくなるかも知れぬと 家族の淡い期待 あっさり裏切られてがっかり … 兄貴として … 妹の初恋は高校二年の秋 相手のバレー部のキャプテンは よくあるケース 結局言い出せる筈もなく 枯葉の如く散った これもまたよくあるパターン 彼氏のひとりも いないとは情けないと 親父はいつも笑い飛ばしてはいたが 時折かかる電話を 一番気にしていたのは 当の親父自身だったろう 危険な年頃と 夫婦は疑心暗鬼 些細な妹の言葉に揺れていた 今は我が家の 一番幸せなひととき も少し このままいさせてと 祈っていたのでしょう … 親子として … 或る日ひとりの若者が我が家に来て 〝お嬢さんを僕に下さい〟と言った 親父は言葉を失い 頬染めうつむいた いつの間にきれいになった 娘を見つめた いくつもの思い出が 親父の中をよぎり だからついあんな大声を出させた 初めて見る親父の狼狽 妹の大粒の涙 家中の時が止まった とりなすお袋にとりつく島も与えず 声を震わせて 親父はかぶりを振った けれど妹の 真実(ほんとう)を見た時 目を閉じ深く息をして 小さな声で… 〝わかった娘はくれてやる その変わり一度でいい うばって行く君を 君を殴らせろ〟 と言った … 親父として … 妹の選んだ男に間違いはないと 信じていたのも やはり親父だった 花嫁の父は静かに娘の手をとり 祭壇の前にゆるやかに立った ウェディング・ベルが 避暑地の教会に 鳴り渡る時 僕は親父を見ていた まぎれもない父親の涙の行方を 僕は一生忘れないだろう 思い出かかえて お袋が続く 涙でかすんだ目の中に僕は 今までで一番きれいな妹と 一番立派な 親父の姿を 刻み込もうとしていた … 兄貴として … 息子として

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