少し動き出した週末の渋滞の中で となりをゆっくり過ぎる 車に目がとまった 助手席に確かに 君がいたように見えた 見まちがうわけはないんだ 心がざわついた 君の姿を確かめようとしたけど ぼくらをむすぶ距離は はなれてしまうばかりで… 何か叫ぼうと身を乗り出したけれど ぼくにはたったひとつの 言葉さえうかばなかった ひくく嘲笑うような バイクの音とともに 君の車はもうずっと 先に進んでしまった ぼくらはこの世界で 孤独を飲み込むたびに 苦笑いのふりをして 大人になろうとしたんだ 君の心を救いたいと願ったけど ぼくらはその涙の ぬぐい方もわからなくて… 君の姿を追いかけようとしたけど 信号でぼくの車は 人の波にとまってしまった 途切れた願いは 消えてしまうのではなくて ぼくらはその痛みで 明日を知るのかもしれない すべての祈りが 輝きはしないけれど… 車はいつの間にか 光の川に消えてしまった