春風が連れていく 小さなひとひらへと そっと手を伸ばす 願わくば遠くへと 彼方の街へと ねえあなたを探している 思いに色がもしあるなら こんな景色を写していたい 音もなく揺れる水面に降りた 満開の花桜 今をあなたに見せたい この道を歩きたい 騒めく夢の中 私を呼ぶ声がした 振り向くその先に 溢れた花びら 春霞 滲んでいく朧げな光に そっと目を閉じる 何処からか聞こえる 木々の音 鳥の唄 ねえあなたも気づいているかな 淡い絵の具を塗り重ねて描いた 絵のよう 時間が止まる 小さな船 凪いだ水面を裂いた 浮世の徒桜 今に散ってしまうなら その分も愛したい 見上げた薄紅は 誰にも鮮やかなまま そのまま そのまま きっと 満開の花桜 今をあなたと見ていたい この道を歩きたい いつしか夢の後 胸に咲いているのは ここからあなたと眺めた花びら 春風が連れてく小さなひとひらへと そっと手を伸ばす 願わくば遠くへと 彼方の街へと ねえあなたに花よ届け
