水底に睡く立休み 砂に潜むように己(おれ)一人. 常常いのちの速力で 陰陽(いんよう)の間を濁っている. 差し挟む手の肉が 列を崩しながら曲がる. 升食い(ますぐらい). 玉響(たまゆら), 己は銀の蛸だ. それは藺(い)の実りのように 過ぎて見逸れるもの. 渠(みぞ)に耳寄す今の己は 正しく未来の浜辺. 揺りのみから知れる あの飴鷺(あまさぎ)の--指の数や 暈ける光. 羽盗りの編む冠(かがふり). あがなづきなる汀の宿. 住すに好し. (國たる冠(さか)も未だ, 夏の土と髪の間を 裾濃(すそご)のように 渡し汚れるのみ. (あたし, きっと, きっと淋しいだけ.))