金木犀の匂いを嗅ぐと何故か、 君にまた 会えるような気がして僕は、 咲いてる場所を探して歩き続け、 気づいたら 心ごと迷子になってます。 遠くで 君も見てるかもしれないほど、 今日の空は 綺麗な真っ赤で見惚れました。 君の世界で僕は今も生きてますか? 僕の世界では一年に一回、 秋に街中が君の色になるんです。 少し肌寒い、 ブタクサ運ぶ風にくすぐられ、 くしゃみして、鼻を擦っては、 遠くで僕の噂をしてるんだな、 なんて馬鹿な期待をしながら 帰っています。 ああ、 君の世界で僕は今も生きてますか? 僕の世界では一年に一回、 空が高くなり、 吐く息が少しずつ白くなって、 木々が枯れ始め、 僕がマフラーを引っ張り出した頃、 街はいつのまにか、 君の色になるんです。 年々薄れてゆき、 年々濃くなるんです。 僕の世界の話です。