若い時には 知らず知らず幽玄を 体現してしまったり でもそれは「時分の花」で 「まことの花」にあらず まことの花とは、一体何ぞや? 稽古の果てに 工夫を重ねて 手に入る ずっと消えることない芸の美しさ と言うのは嘘で、一度手にしても オレは上手いと 慢心すれば 持っていた花も 消え失せてしまうだろう ぶっちゃけて言ってしまえば 花の魅力の本質は 季節ごとにしか咲かない 花の珍しさにこそあるんだ ぶっちゃけついでに言うなら 花が季節に咲くように 世相や時と場に合わせ ふさわしい芸を提供すべきだ 能の稽古、始めるなら7歳 教えすぎず、好きにやらせなさい 幽玄に見える12、3歳 でもそれはまことの花ではない 難しいのが17、8歳 声も不安定でみっともない 珍しさで勝てる24、5歳 でもそれもまことの花ではない 盛りの極み34、5歳 まことの花で天下取りなさい この年でまだ花が無いのかい? 残念!もう上がる見込みはない! ぶっちゃけて言ってしまえば 花の魅力の本質は 秘すれば花、つまりそれが 隠されていることにこそあるんだ ぶっちゃけついでに言うなら 中身は大したことなくていい マスクをしている女性が きれいに見えるのと 似たようなことだ