明けの明星とともに天狗が発現する ステルスだから誰も見えん 風だけ起こして飛び去っていく 忍者はその頃、出勤の準備 京王線に乗って都心に出る 一度も吊革に捕まらず 新宿より先へ先へ先へ 天狗は山で一番大きな 杉の木の上からまちを見下ろして 電柱までひとっ飛び 神通力嗚呼神通力 子供の頃、車窓に想像上の 忍者を走らせたことがあったろう その忍者は実在し往復3時間 会社員としてオフィスで働く しかし十六夜の月の日 高尾山の天狗が暴れるから 溜め込んだ人の業に応じ 自然災害を巻き起こすから それを食い止めるため戦っている 忍者は戦っている 天狗と高尾山で戦っている スピードが早いやつが勝つ 一号路 四号路 七号路 登る もっと早くもっと早く もっと早くもっと早く もっと早くもっと早く 髙尾山薬王院 戦いの片付けは茶色い目をした 坊主がいつもやっている 折れた木も割れた塗装も 石像も経を唱えりゃすぐ直る その坊主は金星人だから その坊主は金星人だから 何でも直せる もっと早くもっと早く もっと早くもっと早く もっと早くもっと早く 髙尾山薬王院 今日も天狗は山の風を吹かせている 今日も忍者は満員電車 京王線 今日もおれたちは山に登らない 今日もおれたちは山に登れない
