Tシャツの隙間から夜風が潜り 込んできてくすぐったいけどそのま まにしておく いま わたしの五感はすべて 眼に集まっていて それは ついさっき、から もうすこし先、の三次元平面で唯一 月の光を反射しない あの闇のなかを泳いでいる 輪郭があると思っていたが 外側と内側の区別はないようで 強いて言葉にするならば 境界線すらも 内側にあるように見えるんだ こんなにも同じ 身体なのに 呼吸を合わせようとすると苦しくて ナノメートルに満たないわずかな 距離のあいだに永遠が 折りたたまれていることを わたしは学習せざるをえなかった 明日 わたしたちはすれ違って 通信をするだろう あなたは花の名前を 教えてくれるけど わたしには聞こえない