鈍い本音を重ねた月は ひどく滲んで見えたんだ それでも何だって やれる気がしたから 見えるはずないもの かけがえのないもの 触れなくても あたたかいもの 戻らない夏と ベランダに立ち尽くし 月の虹を待っていた 奇跡を待っていた訳じゃない 綺麗事じゃない真実が 確かにそこにはあったんだ 蒸し暑くて息を飲んだ あなたの瞳に映り込んだ 月のリングに 永遠を見つけた あの一瞬に七十億分もの 一のあなたの側にいれたこと とても近くにいたけれど 触れられなくて 心が叫んだ 目に映る全てのことが 真実だと思えた 美しい夜の出来事 確かに側にいれたこと 一人じゃなかったこと 偶然じゃないこと 必然でもないこと 選んだこと 二人でいた事実 それだけで それだけで よかった 雨が降って 空を見上げなかった でも私を大きな声で 呼んでくれた あなたがいてくれたから 出逢えた美しい景色が そう言えば たくさんここにはあったんだ 黒猫のステップダンス 泣けるくらい真っ赤な夕焼け 二人の共通言語のふざけた メロディー 天井の低い屋根裏部屋の内緒話 虹の麓の宝物 笑っちゃうくらい寒かった雪合戦 濃い鉛筆のスケッチ画 まるで鏡のような二人の笑顔 ただそれだけで それだけで よかった まだ何だって やれる気がするよ 往生際が悪いって 言われても 褒め言葉にしか 聞こえないんだ これからも旅は続くよ それでいい さぁ 行こうか