モスクワを出たナターシャは 南の島の牧場で 姉の手紙を読んで泣いた 重いコートのイリーナは 雪にうもれた広場で ウォッカのビンを 抱いてひとりつぶやくよ ああ 靴をくれ 歩くために 靴をくれ 強い靴をくれ 二年見習いのシンディは 歯ブラシをくわえたまま 熱いシャワーで夢をさます リムジンのなかのジャスティンは かたいガムを噛みながら 卒業式の夜を思い出してる ねえ 花をくれ 色のついた花をくれ 淋しいから そばにきて 抱き締めて つれてって 青空の 見える場所まで ああ 靴をくれ ああ 花をくれ 閉めた扉が開かない 帰り道がわからない なくしたものは数えきれない モスクワを出たナターシャは 南の島の牧場で 姉の手紙を読んで泣いてる