薄い紅の河は流れて 人はだれも 冬の背中 嬉しそうに見送るけれど 春は未だ 白い繭の 中で覚めない夢を見る か弱い陽光に 偽られて 花は咲いた 散るがさだめならば 河に落ちゆけ桜よ 地に落ちて汚れては いけないの 薄い紅の帯のような 流れに紛れて 彼の海にたどり着け 揺蕩(ただよ)うまま 私を待っていて 桜 繭の中で 優しい産毛 包まれてた あの日の私 教えないで 晒さないで 何も知りたくはなかった 現実も 幻も 溶かすように 雨が降った もしも千年 恋のままで 咲いていられたら あなたの その目にも 映ったの? でもね刹那 心満ちて 留まることなく 愛しさに変わったら 闇の底 私は揺れながら ひらり 風に ひらり 舞って ひらり 散るがさだめならば 河に落ちゆけ桜よ 地に落ちて汚れては いけないの 薄い紅の帯のような 流れに紛れて 彼の海にたどり着け 揺蕩(ただよ)うまま 私を待っていて 桜