答え合わせはすでに終えたから 戻る季節になにを想えばいい 心変わりは春にありふれた ぬるい記憶の一つ 忘れていたよ うまくいかないと笑って すりよせた視線 気配もそのまま 見慣れたろう ちいさな手の栗色 遠い春に重なる声 くりかえすなと願うのは青い花 風が澄んでいても 風が冴えても 風が光っても 風が薫っても 止まらないから かたい繭 産みつけられた他人の命は 青い光る虫になって ひっそりと夜を発ったようだ 隘路に招いた不安 大きな向かい風 追いこした 日をくりかえすというの? かすかな風が吹いて 終わってしまうと知った 季節は変わる愛だけを 残していくのか 彼女はここを去った 「変わってしまう」と言った 「どうして」 と聞き返しても答えはなかった 風、風、古い日を残して (壊れたストレージ、 古い日を残して) あとにはジガバチのゆりかご (かえらない過去には 小さなゆりかご) 長い、長い夢、帰り道は暮れながら 最後のふりをする、わからないまま どこへ行けば昨日へ帰れるの 昨日へ……
