リップクリームは 最後まで使い切る。 目薬も最後の一滴までって 言って聞かせる。 油断をしていたら すぐに失くすんだから。 飲んだことがない、 ソラナックスはまだ。 松屋の新メニューにニンニクが 入ってないことを確認して 五百円超えの贅沢を味わう。 クタクタで家に帰る夜の十時半、 眠るまでに残された わずかな自由時間。 家族を起こさずにドアを開ける。 左足を挟んで 音を立てずドアを閉める。 キュビズムから届いた インストを聴きながら 通販の梱包作業に勤しむ。 書き終わった小説(小節)に 頭の中で赤字を入れる。 「明日もまた会社だ」って 目覚ましを見てる。 来週のライブのセトリは 決まらずに。 小さい目薬の大きさを思う。 人生にハサミを入れただけの ハッピーエンドは要らない。 ポップソングばっか作ってた人が 今やってるアンビエント。 人生にハサミを入れただけの ハッピーエンドは要らない。 ポップソングばっか作ってた人が 今やってるアンビエント。 ホチキスの針を 使い切ったことがない。 飲み切れなかった風邪薬が 溜まってる。 通販の発送を終えてから 電車に乗る。 昨日と同じような プレッシャーにすり減る。 何年働いても 仕事ってのは気を遣う。 トラブルやミスがないかって 息が詰まる。 健康も原稿もリリックも 締め切りが近づいてくる。 「最近、洗濯物を干してないな」 って申し訳なく思う。 レコーディングの日程を調整して、 イベントの段取りを 関係者に送って。 クタクタで休憩から戻る 平日の昼下がり、 目薬をさしてレム睡眠を追い出す。 家に帰ったらまた仕事の続きだ。 特別、報われたいとも思わない。 自分の器より 大きいことはしたくないよ。 小さい目薬の大きさを思う。
