不意に かち合った視線を 戸惑っているように貴方は逸らした 朽ちたギャバジンを翻し 踵を返して 街へと急ぐのね あの日 貴方の口から 飛び出した言葉は 余りに軽いのに 古い煙管を掴む指が 私に触れるのを 何故だか期待した 乗り込んだメトロ 憧れたトーキー 憂い帯びた目に 二度も恋をしたの 沈黙の中で 耳捉えたのは 甘く響いたマンドラ 物差しで測れるような しょぼいプライドなんかじゃ 空いたグラスも満たせやしない 世辞のひとつも言えないような しけた劣情なんかじゃ 乾いた傷さえ癒せないわ 取るに足らないと 貴方は笑うの 大きく見せたい虚勢 弄んで 輝いた過去は 褪せた写真の中 さぁ燃やしておしまいなさいよ 冴えたセリフを纏った声に 胸を躍らせ焦がした 想い出を蘇らせてよ さぁ貴方は何処へ向かうのかしら 冷めた熱を滾らせて 甘い夢をもう一度見せて 物差しで測れるような しょぼいプライドなんかじゃ 空いたグラスも満たせやしない 世辞のひとつも言えないような しけた劣情なんかじゃ 乾いた傷さえ癒せないわ