形のくずれた窓辺に 流れてゆく風 君の涙が僕にはみえていないかい? 水の中のグラジオラスのように たどりつくならば 砂丘まで 青い空も白い雲も あの日のことだけが今でも 夏のまぶしい光に 泳ぎ疲れて風 君の「さよなら」が僕には 聞こえてないのかい? 水の中のグラジオラスのように ああ、どうしてラブソングは 乾いたカスタネットの 音しか奏でないのか? 肉体を枕にしてそれはまるで ひび割れた骨がぶ つかりあっているようだ。 おれはおれたちの時代に しがみついている モラルのハンマーを憎む。 その幻影にとまどいながら ベルベットの雨、 絶望の降りしきる夜、 君は孔雀のように羽をひろげる。 この世界で無残に 壊れたものを再び壊しながら。