嗚呼 春の風 雪解け水運ぶ小川 網戸越しの雀の声に 瞼こするアパート 嗚呼 夏の影 退屈な入道雲 浮き輪を抱えた子供たち 小道を抜けてゆく 室外機の横に並んでる 黄色いパンジーの植木鉢 この街に暮らす私の ささやかな四季折々 なにげないこの日常こそ 絶景なり かくありけり 紙石鹸の香りに目を閉じ揺蕩う 明日も生きるのだ 嗚呼 秋の色 図書館の駐輪場 落ち葉と踊る栗色のブレザー 翻るスカート 嗚呼 冬の音 振り返れど誰もいない 霜焼けそうな郵便受けに 便りなき昼下がり 呉服屋の軒先に並んでる 三割引きのカーディガン この街に暮らす私を象るは四季折々 なにげないこの日常こそ 絶景なり かくありけり 炬燵布団にからだ丸めて微睡む 明日も生きるのだ 折々 四季折々 折々 四季折々 折々 四季折々 なにげないこの日常こそ 絶景なり かくありけり 紙石鹸の香りに目を閉じ揺蕩う 明日も生きるのだ