・・・・~♪~ 春日山から飛火野辺り ゆらゆらと影ばかり 泥(なず)む夕暮れ 馬酔木(あせび)の森の 馬酔木(まよいぎ)に たずねたずねた帰り道 遠い明日しか見えない僕と 足元のぬかるみを気に病む君と 結ぶ手と手の虚ろさに 黙り黙った別れ道 川の流れは よどむことなく うたかたの時 押し流してゆく 昨日は昨日 明日は明日 再び戻る今日は無い 例えば君は待つと 黒髪に霜のふる迄 待てると云ったがそれは まるで宛て名のない手紙 ~♪~ 寝ぐらを捜して鳴く鹿の 後を追う黒い鳥鐘の声(ね)ひとつ 馬酔(まよい)の枝に引き結ぶ 行方知れずの懸想文 二人を支える蜘蛛の糸 ゆらゆらと耐え兼ねてたわむ白糸 君を捨てるか僕が消えるか いっそ二人で落ちようか 時の流れはまどうことなく うたかたの夢 押し流してゆく 昨日は昨日 明日は明日 再び戻る今日は無い 例えば此処で死ねると 叫んだ君の言葉は 必ず嘘ではない けれど必ず本当でもない 日は昇り 日は沈み振り向けば 何もかも移ろい去って 青丹(あおに)よし 平城山(ならやま)の空に満月 ~♪~… ( ! ! ! ! …)