同じ夢で目覚めた。 なぜ今また昔の男など現れる。 眉や目でさえ憶えていない相手じゃ 遥か朧の月。 曖昧模糊。 そんな顔を見て過ごしていた、 妙な場面。 夢は十中八九晴れ模様清々しく。 精々願望を映し出しているようで、 莫迦に幸せそうに燥いでいたっけ。 ああしんどいわ。 頭のみ冴えている。 どことも誰とも繋がらないこの命。 ああ重いわ。 持て余した自我。 急いで夢の途中に戻して。 起きていたくない。 微熱を帯びた瞼が居直ると、 現の世界は荒れ模様忌々しく。 傘も携え用意周到だった。 だのに濡れている自分。 不幸なんだって。 まあしんどいよ。しとどに泣く足。 どこへも誰へも 続いていないこの道。まあ酷いよ。 踏み外した過去。 行けども帰れども 責められて失せてしまいたい。 そう当座凌ぎに必死の人生。 悲しくてもう耐えられない。 ねえせめて愛されてみたかった。 ひと度でも。 どんな最期を迎えて死ぬんだろう。 変わらず誰にも甘えず、 ずっとひとりなら長いわ。 高が知れた未来。 短く切上げて消え去りたい。 飲み込んで東京。