終末 / かっぱっぱ・ワンダーランド

歌詞

和歌山市の西端・加太より見える友 ヶ島には河童が住んでいる。 その夜、 旅館の蒸し風呂にて居合わせた 方がそう言っていた。 「そんなはずがあるか」 と思って、 逃げるようにその場を 去ってしまった。 露天に立って仰ぎ見ると、 辺り一面に海、 その対岸に友ヶ島があった。 島は黒く塗られたように暗く、 目の前を巨大な闇が 遮っているようだった。 その中の一点、 点滅する光が私を魅了した。 耳を傾けた。 「朝なのだ 起きるのだ」 翌朝も風呂に入った。 青空の下に生える友ヶ島はより 一層の威光を放っていた。 私はそれをじっと見つめながら、 こんな事を思い起こした。 自堕落な生活を繰り 返すうちに私の身は痩せ細り、 とても 人様に 見せられない姿になってしまった。 貧弱な身体にははち 切れんばかりの煩悩が 詰まっていて、息苦しい。 服を脱ぐ。 タオルを片手に、 腰を曲げながら振り向いた 鏡の中には、 皿の乾いた河童が一匹、 寂しそうにこちらを見ていた。 いま裸身一つで海に飛び込めば、 あの島の河童たちは私を 出迎えてくれるだろうか…