信号がちょうど青に変わる 肩の荷が少し軽くなった午後 コーヒーが冷めずに届く香る その一杯で世界が静かに和らぐ (やわる) 誰も見てない優しさがある エスカレーター 譲る足がある 誰かの「どうぞ」が空気を変える 気づけた瞬間に心が晴れる 劇的じゃなくていい ささやかで、あたたかくて 意味もなくうれしい その奇跡を信じていたい 天かすの中にエビが一粒 まるで誰かの想いが宿る 財布の奥に五百円玉 忘れてた希望がまた手の中 コンビニで偶然出会う笑顔 マスク越しでも通じ合う素顔 「ありがとう」だけで救われる場面 名前も知らぬ誰かの発言 劇的じゃなくていい ちいさな掉尾(とうび)、 ふとした景色 深く息を吸って “今日が好き”って言えたらいい 隣の人がそっと席を空けた それだけでこの日が優しくなった 洗濯物が陽に包まれてた それだけで暮らしが満ちていた 静かな声が、胸に残る 誰かの手が、誰かを守る 当たり前が ちゃんと尊い そんな日々を 今日も覚えていたい 奇跡じゃなくて、祈りでいい 昨日より今日を信じてみたい 「生きてる」ってただそれだけで ちゃんとこの胸は鳴っている
