気が付けば種がおちてて 拾ったのはいじわるなのかな ポケットに入れた種が 光ったのは気のせいかな ベランダの植木鉢にね その種を大事に植えたよ 雲色のじょうろで雨を 降らせたの 「芽がでますやうに。」 風が吹くすきまもなくて 胸の中 とげがささってるの こんな私のかわり お願いよ 新しい芽を出して 気が付けばふた葉が出てて さらにまたはっぱが出てて そしてまたぐんぐん伸びて ついにはね背丈を越えたの 眠れずに窓を開けた 「心の中で話をしよう。」 あんな小さかった芽も オリオンに届くよう 背を伸ばす 湖ができるくらいに 泣いても誰も振り返らないから そんな時 散歩でもしよう 今朝、咲いた花がそう言うから どれ位の悲しみか 越えてみないと分かんない 誰にだってあるんだよ、って みんなみんな笑うけれど 自分でも気付かない いつの間にか歯をくいしばる 胸のとげは痛いけれど 越えてみなくちゃわかんない