奇麗な感傷が 壊れた海に風を呼んでいる 静かに舞い落ちる 綿毛のように夜を埋めて行く 琥珀の波 錆びた小舟は 月の引力擦り抜けて行く 愛を囁く腕は白く 水の表に輝いていた 甘く canto lamento 眩しい夜の波紋の中で 繰り返す恋のうた obbligato 寄り添いながら二つの声は 一つになれないまま 額に刻まれた印のように 細い手を取った 無数の感情が 音符のように胸を埋めて行く 生まれる前に消えて行くうた 閉じた瞼を慰めるもの 私のことを忘れずにいて 声もかたちも失くした後も canto lamento 真珠のような吐息連ねた 満ち潮の首飾り obbligato 寄せて離れて二人の声は 帰らぬ波のように