今夜は満月です 美しい夜 彼の寝室で 手紙を見つけました “今夜 西の街で” 綴ったその文字は か細くて また したたかでした 「今夜は東の街に 仕事で遅くなる」 嘘をついたあなたの背中に 何も云いません さあ 今から出かけよう あなたに気づかれぬよう 「今夜は何かが起こるの…」と ひとり呟く 嘘つきと泥棒 ふたりで踊る 陰から見るは 道化師の私 金で雇った 弓矢の名手に 「彼女の頭 打ち抜け」と云う 今夜は満月です 悲しみの夜 あなた待ちわびて 食事を支度して 針が指す零時 また見てみぬふり 帰ってくること 寂しく願う 「今夜は南の方へ」 それは本当でしょうか もうきっと 待たせ過ぎたのよ あなたのせいです 嘘つきと泥棒 ふたりで踊る 陰から見るは 道化師の私 金で雇った 弓矢の名手に 「彼女の心臓 貫け」と云う ぽたり 落ちた 彼女の屍 手にした私は もう戻れない きっと 大丈夫 あなたはすぐに ソレを飲み干して 忘れてしまうの 嘘つきと泥棒 ふたりで踊る 陰から見るは 道化師の私 もう一度だけ あなたに会いたい もう一度だけ ふたりになりたい