♪♪♪ 火筒(ほづつ)の響き遠ざかる 跡には虫も声たてず 吹き立つ風はなまぐさく くれない染めし草の色 ♪ わきて凄(すご)きは敵味方 帽子飛び去り袖(そで)ちぎれ 斃(たお)れし人の顔色は 野辺の草場にさも似たり ♪ やがて十字の旗を立て 天幕(テント)をさして担い行く 天幕に待つは日(ひ)の本(もと)の 仁(じん)と愛とに富む婦人 ♪ 真白に細き手をのべて 流るる血汐(ちしお)洗い去り 巻くや繃帯白妙の 衣の袖は朱(あけ)に染み ♪ 味方の兵の上のみか 言(こと)も通わぬ敵(あた)までも いとねんごろに看護する 心の色は赤十字 ♪ あな勇ましや文明の 母という名を負い持ちて いとねんごろに看護する 心の色は赤十字 ♪♪♪