ひぐらしは遠く 街を包んでいく 夕映えに染まる 懐かしい記憶 踏切の向こう 君の影をみたの 季節は何も言わないまま 手をほどいて 走りだす 坂道を抜けて展望塔とすれ違う 錆付いた ガードレールの落書きをなぞる 防災無線がやけに速く聞こえた 耳鳴りの中に君の声がしたんだ 変わらない海 君の口癖 残酷なくらい また陽は色褪せる 忘れない!ない、ない…… あの日の後悔も 遠ざかるさよならの群れを 追いかけて 忘れない!ない、ない…… つないだ手の熱も 陽炎に溶け 消えるまでここにいるから 忘れない!ない、ない…… 交わした約束も 焼き付いた古傷の奥呼びかけて 忘れない!ない、ない…… 変わりゆくこのまちが いつまでも 思い出のまちであってほしい
