♪ 雨もあがったことだし おまえの家でも ふっと たずねて みたくなった けれど おまえの家は なんだか どこかが しばらく 見ないまに 変わったみたい 前には とても おまえが 聞かなかった 音楽が 投げつけるみたいに 鳴り続けていたし 何より ドアを あける おまえが なんだかと 言いかけて おまえもね と 言われそうで 黙り込んだ ♪ 昔 飼っていた猫は 黒猫じゃなかったね 髪型も そんなじゃ なかったね それは それなりに 多分 似合ってるんだろうけど なんだか 前のほうが と 言いかけて とめた 言いだせないことを 聞きだせもせずに 二人とも黙って お湯の沸く 青い火をみている 何を飲むかと ぽつり お前はたずねる 喫茶店に来てる気は ないさ ねえ 昔よく聴いた あいつの新しいレコードがと わざと 明るく きり出したとき おまえの涙をみる ギターは やめたんだ 食っていけないもんな と それきり 火を見ている ♪ 部屋の隅には 黒い革靴がひとつ くたびれて お先にと 休んでる お湯のやかんが わめきたてるのを ああと 気がついて おまえは 笑ったような 顔になる なにげなく タンスに たてかけた ギターを あたしは ふと見つめて 思わず思わず 目をそむける あの頃の おまえの ギターは いつでも こんなに 磨いては なかったよね あんまり ゆっくりも してはいられないんだ 今度 また来るからと おまえの目を見ずに言うと そうか いつでも 来てくれよと そのとき おまえは 昔の顔だった ♪ コートの衿を立てて あたしは仕事場へ向かう 指先も 衿もとも 冷たい 今夜は どんなにメイジャーの 歌を弾いても しめっぽい 音を ギターは 出すだろう ♪